震災当時の被害の様子を極力そのままに展示
仙台市立荒浜小学校は2011年の東日本大震災の津波で大きな被害を受けた地区にある小学校で、沿岸部から約500mほどしか離れていない場所にあります。
津波は4階建て校舎の2階床上まで押し寄せ、校舎は損壊して校舎内に瓦礫や車や家屋が流れ込むなど大きな被害を受けました。
しかし、荒浜小学校に避難していた児童や教職員や地域住民など320名は、津波襲来前に3階や4階に避難したため全員無事救出されました。
その後、荒浜小学校は2016年に近隣小学校に統合されて閉校となりましたが、残された校舎は当時の被害の状況をなるべくそのまま保存して震災遺構として公開されています。
完全に水没となった1階は瓦礫をすべて撤去されているものの、損傷を受けている外壁や天井などはそのままの状態で展示されており、教室入口ドアの上には当時の捜索状況そのままと思われるメッセージなども残されています。
1階と2階の階段踊り場には瓦礫が押し寄せてきた当時の写真パネルが。
2階も写真パネルを大々的に使用して、被害の状況を目で見てわかるように展示されていてわかりやすかったです。
3階は公開されていません。 元々は3・4年生の教室と理科室があり、震災時も避難場所として一部使われていたとのこと。
津波の被害が無かった4階は荒浜小学校の概要や歴史、震災時の記録や資料、防災についての展示がメインでした。
学校の備品を使った展示で、いかにも小学校の文化祭っぽい感じな緩い展示もありましたが・・・
荒浜小学校の地震発生時から避難・救助までの流れを紹介したシアターなどもあり、かなり勉強になる展示内容でした。
津波襲来時の時刻で止まった時計など、被災した備品なども展示されています。
また、屋上にも出ることができるので、被災した荒浜地区や遠くは仙台市市街まで一望できます。
校舎から見る荒浜海岸方面。 確かに海はすぐ目の前で、津波が校舎の4階以上まで到達しなかったことがせめてもの幸いだったと思います。
被災した建物が撤去されてほぼ更地となった荒浜地区と仙台市街方面。 震災前までは荒浜地区もどこにでもある住宅街だったのですが、今ではほとんど建物は見られません。
かつては荒浜海岸から仙台市街の姿は、住宅にはばかれて見られなかったのですが現在は更地となってしまったために、仙台市街まで見えてしまうほど景色が一変してしまったとのこと。
宮城や岩手県をメインに点在している震災遺構の中では割と早い段階で一般公開された「内部まで見学できる震災遺構」の為、2017年のツーリングの時点でこのような震災遺構に立ち寄れたのは貴重な経験と学習ができたと思います。