見学ルートが整備されて、ツアーに申し込めば気軽に行ける!(かも)
ワタクシはバイクやレンタカーとかで47都道府県走り回っていたんですが、正直、あまり離島には行ったことが無いんですよね。
理由はまぁ自分のケチケチ理論なんですが単純にタイパもコスパも良くないので、その離島によっぽどの魅力とか目的とかが無い限りはスルーしていました。
で、そんな自分にとって「よっぽどの魅力や目的」がハッキリしている離島の1つだったのが今回の目的地「端島」、通称「軍艦島」でございます。
高島海上交通「ブラックダイヤモンド」の軍艦島上陸周遊クルーズに参加
かつては軍艦島は上陸禁止で周囲をグルっと周るクルーズ船ツアーがメインでしたが、一部エリアに見学ルートが整備され、2009年より観光客が見学ルート内に限り軍艦島に上陸できるツアーが開催されるようになりました。
で、今では5社のツアー船会社が軍艦島クルーズを運行していますが、今回はその中の1つ、高島海上交通が運行する「ブラックダイヤモンドで行く軍艦島上陸周遊クルーズ」に申し込みました。
こちらのツアーを選んだ理由ですがこれまた単純に、比較的値段が安かったことと偶然にも翌日午前発だけ空きがあったからでございます。(この日以外は3週間くらい先まで満席だった)
予約方法とかは上の公式HPを参照してほしいですが、流れとしては予約したら集合時間に高島海上交通の事務所に向かい、クルーズの受付を済ませてチケットとツアー参加証、係員の案内に従ってクルーズ船の泊まっている港に向かいます(徒歩2分くらい) 料金はインターネット割引で3600円、これに軍艦島上陸見学料310円が追加されて計3910円でした。
ツアー所要時間は集合から解散まで3時間ちょい程度。 実質半日程度のクルーズツアー代金と考えるとかなりお得ではないでしょうか。
そして乗船するのがこちらの「ブラックダイヤモンド」。 参加人数はざっと100人くらい?で当日朝のHPを見ると満席との表示がありました。
ワタクシのような個人やグループ客、大型バスからのツアー団体客もいました。 子供連れもいましたが割合としては少な目だったかと。
船は1階の長椅子メインの席が30人分くらい、2階屋上は立ち見スペースとなっており、基本的に自由席早い者勝ち。
楽さで言えばもちろん1階長椅子席ですが早々に埋まりますし、2階屋上の方が道中の景色を存分に見られるというメリットもあります。 道中も船内放送で周辺の観光ガイドが流れていて、特に長崎港にある三菱重工長崎造船所の説明や世界遺産「ジャイアント・カンチレバークレーン」の案内など、見所を教えてくれました。
まずは、軍艦島のすぐ近くにある炭鉱の島「高島」に上陸
長崎港を出港して約40分、まずは軍艦島から2.5㎞ほど離れた位置にある高島に上陸します。
こちら、高島も軍艦島と同じく炭鉱で栄えた島でして、島内にある高島石炭資料館にて高島と軍艦島(端島)の炭鉱開発についての詳しい説明を受けます。
ガイドの話を聞く限り、日本の近代炭鉱開拓の歴史としては軍艦島よりも高島の方が古く、軍艦島よりも高島をメインに訪れる人も多いのだとか。 当時の鉱員の作業道具や服装、島民の生活の道具や祭りの神輿などが展示されていて、ガイドの説明の後は15分程度の自由見学となります。
中でも屋外には三菱財閥創業者である岩崎弥太郎の像があったりと、軍艦島や高島をはじめ、長崎の造船業に三菱財閥との深い繋がりがあることが伺えます。
で、資料館の外には軍艦島の模型が展示されていて、ここで今回の軍艦島上陸後の見学ルートが説明されます。
軍艦島の見学ルートは主に南南東から南側にかけての約500m程度のみとなっていて、上の写真に写っている部分、主に炭鉱に関する施設跡側がメインとなります。
そのため、軍艦島の西~北側に立っている住居跡エリアは見学コースからはほとんど見えないので、いわゆる「廃墟になったマンション群」を間近に見れると期待しているならば、ちょっとイメージと違う姿の軍艦島となるかもしれません。
そんなこんなで説明を受けて、全体で30分程度の高島滞在となります。
ちなみに名産はハート形のトマトらしく、フェリーターミナル内に売店もあります。 値段はちょっと高かったが…。
また、トイレは軍艦島には無いので、この高島上陸時が最後のトイレ休憩となります(一応船内にもトイレがあるらしいが)
高島から軍艦島に向けて出航!
高島を出港していよいよ軍艦島に向かいます。
高島からさほど離れていないのですぐに軍艦島の姿を見ることができます。
ですが早速上陸するわけではなく、まずはガイドの説明を聞きながらグルリと軍艦島の周りを一周します。
軍艦島北側から。 軍艦島内でも規模の大きい鉄筋コンクリートの建物が3棟見えまして、左から端島小中学校・65号棟(鉱員社宅)、右手前の一段背の低い建物が端島病院です。
北側から西南にかけてゆっくりと移動します。 ここら辺は上陸後の見学コースからはほとんど見えないので船上からじっくりと見ておきましょう。
西側から見る軍艦島。 どうやら「西側から見る軍艦島が最も軍艦っぽい」らしく、確かに軍艦のように見えますねぇ。
ただガイドによると、そもそも当時の島民のほとんどはこのアングルから見たことが無いので「軍艦島」と言われることに違和感を覚えたそうで。
そのままぐるりと南側に回って、東側の船着き場「ドルフィン桟橋」に向かいます。 この辺は上陸後の見学コースでも見える側となります。
◆軍艦島に上陸するには厳しい条件が!
今回は無事上陸できましたが、いつでも上陸できるわけではなく、割と厳しい条件をクリアした場合のみ上陸できるように、各ツアー会社共通ルールとして決められています。
- 風速が秒速5メートルを超えるとき
- 波高が0.5メートルを超えるとき
- 視程が500メートル以下のとき
- 上記範囲内においても、見学者が安全に下船できないと船長が判断するとき
風速5m/s超や波高0.5m超って割とよくあると思いますし、実際、晴天時でも上陸できないケースはよくあると思います。
また、各ツアー会社ごとに「ドルフィン桟橋」を使用できる時間帯が定められているらしく、大幅な遅れがあった場合も上陸できなくなります。
調べてみると月によってバラつきがあるものの、全ツアー会社トータルで上陸率は60%とやや低いので周遊はできたものの上陸はできないかも、と言うのは留意しておきましょう。
ちなみに出港後に軍艦島に上陸できなかった場合は、返金は軍艦島上陸見学料310円のみとなります。
いよいよ軍艦島に上陸!
と、いうわけで今回は無事、軍艦島に上陸することができました。
上陸後はしっかりとした見学ルートが整備されていまして、3か所ある広場に全員集まって説明を受ける流れとなります。
基本的に写真撮影などの自由行動は見学ルート終点「第3見学広場」まで進んで、すべての説明を聞いた後となるので、行きは終点までガイドの指示に従いながら足早に進んでいきます。
◆第3見学広場からの景色
と、いうわけでまずは見学コース終点の第3見学広場から桟橋に戻る形で紹介していきます。 写真中央に見える正方体のような建物は30号アパートでして、1916年に建てられた日本最古の鉄筋コンクリート造の高層アパートです。
7階建てで中央は中庭で吹き抜け構造の鉱員社宅でして、地下に売店もありました。
30号アパートは数年前に見学コース側の真ん中部分が崩落しており、いつ完全崩落してもおかしくない状況。
そのためガイドの説明で「今見ている軍艦島はもう次の日には無くなっているかもしれない姿。 だから今、この瞬間の軍艦島の姿を目に焼き付けてほしい」という言葉を強調して言っていました。
第3見学広場の裏側にあったコンクリートの土台のような構造物はプールでして、25mプールと幼児用のプールもあり、海水を使用していました。
◆第2見学広場からの景色
第2見学広場からは炭鉱の事務所や地下の炭鉱への入口となる坑口桟橋などの建物跡を見ることができます。
特に炭鉱の島・端島の象徴となるのがこちらの第二竪坑入坑桟橋跡でして、写真左側の事務所から白いパイプの見える階段を上り、第二竪坑入坑桟橋から地下数百mも降りて石炭の採掘作業をしていました。
写真のレンガ壁のすぐ右側のポッカリと壁の空いた部分は鉱員の為の巨大共同浴槽だそうで、仕事上がりの鉱員が汚れを洗い流す場として使用されていました。
さらにその上の階にはトイレらしきものも見えます。
軍艦島の最も標高の高い位置にあるのが灯台と、その隣にあるコンクリ建物が貯水槽。
当初は海水を蒸留して真水を作っていましたが、のちに給水船による補水、そして最終的には現在の長崎市三和町から6500mもの海底送水管が敷かれるようになりました。
その送水された真水が軍艦島の最も高い位置にある貯水槽に貯められ、各家庭に送られるようになりました。
ちなみに手前にそびえるレンガ造りの壁らしきものが凄い歴史を感じさせますが、総合事務所の内装?らしく、ガイドさん的には軍艦島の遺構の中では比較的価値が無い的なことおっしゃってました(笑)
◆第1見学広場からの景色
終点の第3見学広場から桟橋に近い第1見学広場まで戻ってきました。 写真に写っている2階建て相当のコンクリの建物は選炭機棟かな?
ここから北側を向けば炭鉱の施設と住居エリアの一部を眼前に見ることができます。
ちなみに写真左上の立派な建物は3号社宅で、主に幹部など偉い人用の住居となっていて、各部屋に専用のお風呂が付いていたとのこと(一般的な鉱員住宅は共同風呂)
写真右側に橋脚のようなコンクリが立ち並んでいますが、これが地下から運ばれてきた石炭を移動する貯炭ベルトコンベア跡となります。
この貯炭場から石炭運搬船に積まれて本土へ運ばれて行きました。
ちなみに上陸時は護岸補強工事をしているのか、巨大なテトラポットをいくつも海底に設置していました。
軍艦島を出て長崎港へ
軍艦島の滞在時間はガイドの説明込みで約45分。 名残惜しいですが、再び船に乗って長崎港へ戻ります。
ちなみに帰りは高島には寄らず、長崎港まで直行となります。 所要時間は約50分。
つかの間の滞在だった高島を横目に長崎港へ向かいます。
行きは1階の椅子に座ったためにあまり外が見れなかったんですが、道中は伊王島大橋と…
女神大橋の下をくぐるコースとなっています。
女神大橋を抜けると三菱重工長崎造船所を横切り…
次第に近代的な長崎港の街並みが見えてきます。 軍艦島を見た後だとより一層、長崎の栄枯盛衰を感じることができる・・・かな?
そんなこんなで長崎港に到着して軍艦島上陸周遊クルーズは終了となります。
3時間ちょいと長いような短いような軍艦島クルーズですが、おひとり様から申し込みができてガイドの説明も丁寧だったので、なかなか良かったと思います。
や、ホント前日の夜まで行こうか悩んでて、ホントたまたま空きがあったから申し込んだんですが、ホント良かったかなと。
逆に行かなかったら今頃絶対後悔してると思うので、もし穏やかな晴天の日であれば、申し込んでみるといいと思います。
良かった点/気になった点
◎おひとり様でもOK、周りの客も少人数多め
〇軍艦島ツアー5社内では比較的大きな船
〇途中、高島に寄港して詳しく説明してくれる
〇移動中も随時説明があって飽きない
△椅子席が限られていて、早い者勝ち。疲れないポジションを早めに見つけよう
・軍艦島滞在時間がもう少し長ければ…(多分しょうがない)
・当然揺れるので酔い止め必須
・予約は必須、シーズンによって全く空いてない時も
「高島海上交通」 詳細
料金:ツアー代3600円(ネット割)~+軍艦島上陸見学料310円
・出港後、軍艦島上陸不可の場合は見学料のみ返金
バイク駐輪場(駐車場):バイク・車共に駐車場、提携等なし
・当ブログの「長崎市中心部の大型バイクも停められるバイク駐輪場一覧」を参照
営業時間:8:00~17:00
・クルーズ受付は各出港時間60分~20分前までに受付を
HP:高島海上交通
【訪問時期:2025年4月/最終更新:2025年8月】
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